原皮は動物の種類だけでなく産地によっても特性が異なり
同じ鞣しをしたとしても仕上がりが異なります。
どの産地が駄目というのではなく適材適所、革の声を聞いてその革に適したなめしと仕上げを行いアイテムを創り上げる事が重要です。
BONCOURAが大切にしていることは調和とバランス
服作りは料理と似ている所があり最高のものを作るためには大切なことがあります。
例えば最高級の味噌と最高級のキャビアを使って味噌汁を作ったとしても
ある程度美味しい、その中での最善の物を作ることは可能でも、最高の料理と言えるかと言われると疑問が残ります。
また味噌汁を作るならキャビアより安価でもっと他の具材を使用したほうが美味しく作れますし、キャビアももっと美味しい食べ方があります。
素材によって最適な調理法や料理が違うのです。
他にも生ハムメロンも日本の高級な甘くて柔らかくてジューシーなメロンより、少し甘さが控えめで肉質も少し硬いものの方が、甘さと塩気そして食感のすべてのバランスがよく合います。
このように素材の価格が高ければ良いという訳でもなく、全てバランスと調和が大事だと思っています。
服も同様に素材の値段が高ければ良いというわけではなく、方向性が揃っていなければ、素材の真価を発揮することが出来ず、その素材を使った中での最善の服を作れたとしても最高のものではないと考えています。
ただ私達が目指して作っている調和とバランスの取れたものは非常に言語化が難しくそれ故、抽象的な表現でしか説明することしか出来ませんが
物や素材が好な方には調和の取れた納得いただだけるクオリティに仕上がっていると考えてます。
心を震わせるものを創るために日々研鑽しアップデートし続けています。
革の鞣しにおいて一般的に知られている通常の工程以外に数多くの技があり
あまり詳細を語ることが出来ないのですが
タンナーさんごとに秘伝のレシピが有ります。
またタンナーさんによっても得意不得意がありそれは使用する薬品や水、工程もやや異なるためになります。
BONCOURAが求める革を作り上げるため、その革を作るのに一番得意なタンナーさんを選び、その時に最適なレザーを作れるよう自分たちで工場回りを行っています。
また原皮に関してはなるべく傷の少ない上質なものを選別してもらっています。
年々原皮の品質が低下する中キレイなものを取り続けるのは困難で
これは直接タンナーさんと関係を結び信頼関係があるからこそできることです。
見たときの迫力、経年変化
そして何より指先に当たる感覚を何より大事に
レザーを作り続けています。
BONCOURA レザージャケット長男
BONCOURAが誇る美しいシルエットの3rd Denim Jacket
美しさの秘訣はやや細身で洗練された形にあります。
そのままレザー用にパターンを流用することもできますが
レザーの特性やコーディネート等を最大限に活かせるよう
新たに一からパターンを引き
本来のシルエットの美しさを損なわないようにサイズ感を調整し
シャツだけでなく薄手のニット等も重ね着をできるようになっております。
裏地を付けずに1枚仕立てになっておりますので、内側の銀面の上質でなめらかな手触りを堪能してください。
このレザーの最大の特徴は水を弾きます。
通常スエードを水に強くしようと思うと
防水スプレーが思い浮かべられますが、防水スプレーは革表面にコーティングを施してしまうので
手触りが革本来の手触りでは無く防水スプレーの手触りになってしまいます。
そこでBONCOURAは熟練の職人の協力の下、新たな、なめらかで上品かつエイジングを楽しめるそんなレザーを試行錯誤の末、新たに開発しました。
特殊な鞣しを施すことにより
スエードの最大の弱点とも言える水濡れによる色のにじみやシミ等が防げ雨の日でも気にせず育ててもらえます。
またヒジのシワなどのアタリも着込むごとにでてきます。
BONCOURAスエードジャケットに続く2代目
初のスムースレザーとなるSASHA Jacketは中を茶芯にすることによりエイジングが非常に楽しめる造りとなっています。
コンセプトはレザーが重すぎず、軽すぎないかつ経年変化も楽しめて、そして気負わずに着れる革ジャンを目指して作りました。
インスパイアされたのは30sのテーラード形のジャケットで元々はテーラード仕様でしたが
テーラード仕様では強度的に弱いところがありハードユースには耐えられないことがわかっていましたので裏地等の仕様を変更しより良い形へと仕上げました。
サイズ感は一般的なレザージャケットはレザーの消費を抑えるためか、タイトフィットのものが多く見受けられ、コーディネートとしての幅がなくやや重ね着には不向きな事が多いですが
BONCOURAとしてはもっとカジュアルに重ね着ができコーディネートの幅を広げるそんなレザージャケットを創りたくて実現したアイテムです。
ヴィンテージのレザージャケットは
比較的固くて重い物が多く正直気合を入れてエイジングしないと腕が曲がらなかったり肩が凝ったりと
物自体に迫力があるものの今日は革ジャンを着るぞ!と気合を入れないと着れない物が多く
逆に厚みをどんどん落としていくと軽くはできるものの
革と言うより、革の質感の布と言った風になってしまい味が出にくくレザーとしての良さを失ってしまいます。
また薄くすれば薄くするほど鞣しにも制限が出てきてしまいます。
重すぎす、柔らかさもあり、肉感、と質感があると言う相反する性質を革に組み込むそのバランスが非常に難しく何度もサンプルを作り直しました。
一般的にメーカーは衣料用のレザーを扱う場合、革問屋さんへ衣料のレザーを依頼し
そこからタンナーさんが持っているノウハウやレシピを使って仕上げを変えるだけと言うことが多いのです。
なぜなら、なめしの方法を一から開発するのは非常に大変であるからです。
実際に何度も試作をしてみてわかりましたが
鞣し仕上げ終わった段階で良いと思ったレザーが出来たとしても
実際に縫製してみるとレザーの特性的に衣料の縫製が出来ないといったこともありました。
そうしてそのサンプルを作り上げるために何十枚という革を鞣し
何度も試作を重ね出来上がったレザーは柔らかさと、しなやかさを持ち、かつ薄すぎないBONCOURAが求める仕上がりとなりました。
SASHA Jacket より表面の色を黒くかつ更にしっとりとしたリッチな手持ち感にするため、皮の厚みをやや上げ、オイルも多めに入れております。
1930s のCar Coat からインスパイアされ
BONCOURAの解釈でモディファイされたモデルは、無骨さと男らしさを兼ね備えています。
ナットボタンも50年前のヴィンテージペレットから整形し昔ながらのやり方で染め上げたボタンで
このボタンも使用すればするほど経年変化で色が変化していきます。
裏地
ヴィンテージではウールのものも多く見られますが、ウールでは保温性は抜群なものの真冬のみしか着用できず、中に着るものが引っかかりやすかったりとやはり気合を入れて着ると言う風になってしまします。
ウール以外ならコットンのネル地と言う手もありますがレザーに負けないぐらいのものとなると
やはりそれなりの厚みが必要なのでそうなるとまた着れる期間が短くなってしまうのでネル地は保留となりました。
そこで考えたのはキュプラ
少ないながら実際にヴィンテージのレザージャケットに採用されていた歴史もあり
着用したときの肌触りや袖の通しやすさなど機能性を考えると非常に優れた素材です。
ただキュプラは1つ弱点があり摩擦に少し弱いところです。
ヴィンテージのものでも裾等が擦り切れているものが見つかることが多くネル地と比べるとやや弱い印象があります。
キュプラの生地自体がテーラードジャケットなどの裏地として使われ、生地の特性以外にも、比較的薄いものが多いのが1つの原因として考えられます。
果たしてレザーのハードユースに耐えられるのか
そんなに肉厚なキュプラが存在しないのであれば作れば良いのです。
ということで今まで見たことがないような厚みのキュプラを作るため、職人をめぐり
自分たちが作れる中で最大の厚みの見たことがないキュプラを創り上げることが出来ました。
キュプラにはオリジナルファブリックの証であるロゴが配置されており
裏地の色合い、織りにまで拘った最高の裏地です。
BONCOURAのベルトは4mm厚の肉厚なレザーを選別してもらっております。
原皮は基本的に部位によって厚みが異なり4mmのものを揃えようとすれば一番薄い部分が4mmでなければなりません
これは100枚見て数枚あるかどうかのレベルで、更に銀面がきれいなものになると更に数が少なくなります。
産地等はシークレットですがここの産地のものはしっかりとした銀面が特徴でベルトには最適です。
鞣しは伝統的な鞣し方のピット鞣しで
ピット鞣しは
原皮を時間をかけて薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へ徐々に漬け込んでいくことで鞣します。
この方法は鞣すまで非常に長い時間がかかりまたスペースも必要ですが。
この鞣しでしか得られない革が出来上がります。
この鞣しの良いところは何と言っても銀面が浮きにくいところです。
一般的なドラムを使用する鞣しでは、ドラム式洗濯機のようにレザーと薬品を混ぜ合わせるので繊維がほぐされた状態になっていますが
ピット鞣しではそのまま原皮をタンニン槽に漬け込むため繊維がしっかりした状態が保たれます。
革本来の良さを最大限に引き出した鞣しとも言えますが
それ故逆に仕上げであまり手を加えすぎると、銀浮きのもとになったり経年変化がイマイチになってしまったり、それこそピット槽で鞣すメリットが消えてしまうので
手を加えすぎてはいけないですが、手を加えないと一般的なピットヌメ革と同じ革になってしまうので、特徴や個性を出すのが非常に難しい素材とも言えます。
また試作を作るときに鞣しに2ヶ月、サンプルに1ヶ月、経年変化を見るのに、最低3ヶ月と、作ってベルトを作ってエイジングさせてと言う工程が年2回が限界なので完成までには非常に時間がかかりました。
ベルトのレザーは茶芯にしており使えば使うほど中から表面の染料が薄くなり中からタンニンの茶色が出てくる様になります。
時間をかけた分、経年変化、質感、がBONCOURAが求める最高のベルトのレザーになったかと思います。
バックルはありそうでないを意識してでデザインを考え出しました。
BONCOURAらしい質実剛健さを出すためには細い線ではなく太い線
ただしあまりゴツくしすぎると、ヒッピーやウエスタンっぽくなりコーディネートとして使用する場所が限られてしまう。
やりすぎないかつ普通じゃない迫力のあるものに仕上げたかったので
職人に元型を作って貰う前に整形し何度も自分でサンプルを作り
それを元に職人に掘ってもらいました。
素材は真鍮製で使い込むごとに真鍮らしいくすみが出てきてレザーと一緒にエイジングしていきます。
元型は職人の手掘りで整形し
裏側のBの刻印は角度や入れ方を何度も微調整して刻み込みました。
そして完成したベルトバックルは絶妙なバランスの形そして重量感があり着用したときに存在感はあるものの癖の無いでもどこにもない絶妙なバランスのバックルが出来ました。
ベルトになるまで
ベルトになるまでは非常に手作業の多い部分
革漉き、穴あけ、縫製、コバ塗りなど多くの工程があります。
中でもステッチはミシン縫いではなくハンドステッチになっております。
ステッチの形状は着用しているときには見えないものの
ベルトを外したときまたは掛けたときに見える部分になります。
ステッチの形状も限られる中運針や糸の太さがハンドステッチならではの味がベルトを更に引き立てます。